誹謗中傷で刑事告訴は可能?手続きの流れと費用を徹底解説
ネットでの誹謗中傷は、名誉毀損罪や侮辱罪として刑事告訴が可能です。証拠保全から発信者特定、告訴状提出まで数ヶ月以上かかりますが、弁護士に刑事告訴を依頼すれば着手金20~50万円程度で対応できます。刑事告訴で加害者に刑罰を与え、別途民事訴訟で慰謝料請求も可能です。
誹謗中傷はどんな罪に問えますか?該当する4つの刑事罰
インターネット上の誹謗中傷は、内容によって複数の刑事罰に問うことができます。「誹謗中傷罪」という罪名はありませんが、刑法で定められた4つの犯罪に該当する可能性があります。
名誉毀損罪になるケース|具体的事実の摘示がポイント
名誉毀損罪は、SNSや掲示板で具体的な事実を挙げて他人の社会的評価を下げる行為です。
例えば「○○は不倫している」「○○は前科がある」といった、真偽を確かめられる内容を不特定多数が見られる場所に書き込むと該当します。事実が真実でも虚偽でも罪は成立するのが特徴です。法定刑は3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金で、被害者の告訴がなければ起訴されない親告罪です。
侮辱罪になるケース|2022年の厳罰化で対処しやすく
侮辱罪は、具体的な事実を示さずに**「バカ」「死ね」などの暴言**で相手を侮辱する行為です。
名誉毀損罪との違いは、事実の摘示が不要な点です。2022年7月の法改正により、法定刑が1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金に引き上げられました。ネットいじめの深刻化を受けた厳罰化により、以前より告訴しやすくなっています。こちらも親告罪のため、被害者の告訴が必要です。
脅迫罪・業務妨害罪になるケース|親告罪ではないため立件しやすい
- *「殺すぞ」「家に火をつける」**といった害悪の告知は脅迫罪(2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金)に該当します。
また、企業や店舗に対して虚偽の悪評を流す行為は信用毀損罪や業務妨害罪(3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)に問われます。これらは親告罪ではないため、被害届だけで捜査が開始される点が特徴です。
刑事告訴の手続きはどう進めますか?6つのステップを解説
誹謗中傷で刑事告訴を行い裁判が開かれるまでには、証拠収集から裁判まで6つのステップを踏む必要があります。単に警察に相談するだけでは告訴は受理されないため、適切な準備が重要です。
証拠の保全方法|削除される前に必ず記録を
誹謗中傷の証拠保全はスピードが命です。投稿者が削除する前に、以下の情報を含むスクリーンショットを撮影してください。
投稿内容・日時・URL・投稿者のアカウント名が必ず画面に含まれるよう撮影します。さらに信頼性を高めるには、ウェブ魚拓サービス(archive.today等)でページ全体を保存することをお勧めします。証拠がなければ警察も動けないため、この段階が最も重要です。
発信者情報開示請求|匿名の加害者を特定する方法
匿名での誹謗中傷の場合、投稿者の特定が必要です。これは発信者情報開示請求という手続きで行います。
まずSNS運営会社等にIPアドレスの開示を求め、次にプロバイダに契約者情報の開示を請求します。この手続きは専門知識が必要なため、弁護士への依頼が一般的です。特定までには3ヶ月~1年程度かかることを想定しておきましょう。
告訴状の提出から裁判まで|警察・検察の判断基準
加害者が特定できたら、告訴状を作成して警察署に提出します。告訴状には被害の具体的内容と証拠を明記する必要があります。
警察が告訴を受理すると捜査が始まり、完了後は検察に送致されます。検察官が起訴・不起訴を判断し、起訴されれば刑事裁判が開かれます。示談が成立した場合は不起訴になることが多いため、加害者側から示談の申し出があった場合は慎重に検討しましょう。
刑事告訴と民事訴訟は何が違いますか?併用のメリット
刑事告訴は加害者に国家による刑罰を求める手続きですが、慰謝料を得るには別途民事訴訟が必要です。両者は目的が異なるため、並行して進めることが可能です。
刑事と民事の違い|目的と結果の比較
刑事告訴の目的は加害者への処罰で、結果として拘禁刑や罰金が科されます。一方、民事訴訟は被害の金銭的賠償が目的で、慰謝料の支払いを求めます。
刑事で加害者が特定できれば、その情報を民事訴訟で活用できるため、まず刑事告訴から始めるケースが多いです。時効は両方とも原則3年ですが、起算点が異なるため注意が必要です。
慰謝料の相場|誹謗中傷の内容で金額が変わる
誹謗中傷の慰謝料相場は10万円~100万円程度と幅があります。
名誉毀損の場合は10~50万円、侮辱の場合は1~10万円が一般的です。ただし、被害の程度や社会的影響によって増減します。企業の場合は信用毀損による売上減少など、実損害も含めて請求できる可能性があります。
弁護士費用の内訳|着手金と成功報酬の目安
弁護士に依頼する場合、目安として発信者情報開示で20~30万円、刑事告訴で20~50万円の着手金が必要です。
成功報酬は同額程度が目安です。民事訴訟を追加する場合は、着手金20〜30万円に加え、獲得慰謝料の10~20%が成功報酬となることが一般的です。初回相談は無料の事務所も多いため、まず相談して費用見積もりを取ることをお勧めします。
よくある質問
誹謗中傷の刑事告訴について、多くの方が疑問に思うポイントをQ&A形式でまとめました。
警察に相談したら必ず動いてもらえますか?
証拠が不十分な場合、警察は動けません。
警察が告訴を受理するには、犯罪の成立要件を満たす明確な証拠が必要です。スクリーンショットなどの証拠を整理し、できれば弁護士に相談してから警察署へ行くことをお勧めします。また、緊急性がない場合は相談扱いで終わることもあるため、告訴の意思を明確に伝えることが重要です。
告訴と被害届は何が違うんですか?
告訴は加害者の処罰を求める意思表示、被害届は被害の事実を伝えるだけです。
親告罪の告訴期間は、犯人を知った日から6ヶ月の期限があり、親告罪の場合は告訴がなければ起訴できません。一方、被害届に期限はありませんが、捜査義務は発生しません。誹謗中傷で処罰を強く望む場合は、告訴状の提出を選択すべきです。
示談を持ちかけられたらどうすればいいですか?
弁護士に相談してから判断することをお勧めします。
示談金の相場は慰謝料と同程度の10~100万円が目安です。示談すると刑事告訴を取り下げることになるため、金額だけでなく謝罪の誠意や再発防止の約束も含めて検討しましょう。口約束ではなく、必ず示談書を作成して、今後の誹謗中傷禁止条項を入れることが重要です。
時効はいつまでですか?間に合わない場合の対処法は?
名誉毀損罪・侮辱罪の公訴時効は3年です。
投稿から3年経過すると刑事告訴はできなくなります。ただし、民事の損害賠償請求は別途3年の時効があるため、刑事が時効でも民事で対応可能な場合があります。また、投稿が継続している場合は最後の投稿から起算されるため、古い投稿でも諦めずに専門家に相談してください。
匿名の相手でも特定できる可能性はありますか?
プロバイダにログが残っていれば特定可能です。
ただし、ログの保存期間は3~6ヶ月程度のため、早急な対応が必要です。海外サーバーを使用している掲示板や、Torブラウザなどの匿名化技術を使われた場合は特定が困難になります。それでも投稿内容から個人が推定できる場合もあるため、まずは証拠を保全して弁護士に相談することをおすすめします。
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