開示請求が認められる条件とは?要件と成功率を上げるポイント

開示請求が認められるには、権利侵害の明白性正当な理由が必要です。名誉毀損やプライバシー侵害などの権利侵害があり、損害賠償請求や刑事告訴といった正当な目的がある場合に認められます。2022年の法改正により手続きが簡素化され、3ヶ月〜から1年程度で加害者を特定できるようになりました。

開示請求が認められるための法的条件とは?

発信者情報開示請求を成功させるためには、プロバイダ責任制限法で定められた法的条件をすべて満たす必要があります。これらの条件は投稿者の通信の秘密や表現の自由を守るために設定されているため、厳格に判断されます。

最も重要な「権利侵害の明白性」とは何ですか?

権利侵害の明白性とは、投稿によってあなたの権利が客観的に侵害されていることが明らかな状態を指します。

単に「不快な投稿をされた」「悪口を言われた」という主観的な感情では不十分です。裁判所は、名誉毀損、侮辱、プライバシー権侵害、著作権侵害などの具体的な権利侵害があるかを判断します。さらに、投稿内容に公益性や真実性といった違法性阻却事由がないかも慎重に審査されます。この要件をクリアすることが、開示請求成功の最大の鍵となります。

開示請求に必要な「正当な理由」とは具体的に何を指しますか?

正当な理由とは、開示された情報を権利回復のために使用する明確な目的があることを意味します。

具体的には、加害者に対する損害賠償請求刑事告訴、今後の誹謗中傷を防ぐための差止請求などが正当な理由として認められます。一方で、個人的な報復や相手をネット上で晒すといった私的制裁を目的とする場合は、正当な理由として認められません。開示請求をする際は、取得した情報をどのような法的手段に使用するのかを明確にする必要があります。

その他の必要条件はどのようなものですか?

開示請求には上記2つ以外にも、以下の条件をすべて満たす必要があります。

・ 特定電気通信による情報流通であること - SNSの公開投稿や掲示板など、不特定多数が閲覧できる場での投稿であることが必要です。DMやLINEの個人トークは対象外となります。

・ 請求者が被害者本人であること - 権利を侵害された本人のみが請求できます。ただし、未成年者の親権者や弁護士による代理は可能です。

・相手方が開示関係役務提供者であること - X(旧Twitter)やYouTubeなどのサイト運営者、NTTやKDDIなどの接続事業者が該当します。

・ 発信者情報を求めていること - 氏名、住所、電話番号、IPアドレスなど、法律で定められた情報のみ開示請求できます。

・プロバイダがログを保有していること - ログ保存期間は3〜6ヶ月程度のため、この期間内に手続きを開始することが極めて重要です。

2022年改正で開示請求はどう変わりましたか?

2022年10月に施行された改正プロバイダ責任制限法により、発信者情報開示請求の手続きが大幅に改善されました。従来の複雑な2段階の手続きから、より迅速で費用負担の少ない制度に変わっています。

新設された「発信者情報開示命令」の最大のメリットは何ですか?

発信者情報開示命令の最大のメリットは、従来2回必要だった裁判手続きが1回で済むようになったことです。

これまでは、まずサイト管理者に対してIPアドレス開示の仮処分を申し立て、その後、接続事業者に対して氏名・住所開示の訴訟を起こすという2段階の手続きが必要でした。新制度では、これらを一つの手続きで一体的に審理できるようになり、期間は従来の1年以上から3ヶ月〜1年に短縮されました。また、仮処分で必要だった担保金(10〜30万円)も原則不要になりました。

ログイン時の情報も開示対象になったことでどう変わりましたか?

改正により、投稿時だけでなくログイン時のIPアドレスや電話番号も開示対象になりました。

これまで投稿時のIPアドレスが特定できないケースや、VPNを使用した投稿では加害者の特定が困難でした。しかし、ログイン時の情報も開示対象になったことで、匿名性の高いSNSでも加害者を特定できる可能性が格段に高まりました。特にX(旧Twitter)やInstagramなどのSNSでの誹謗中傷において、この改正は被害者にとって大きな追い風となっています。

消去禁止命令でログ保存の問題はどう解決されましたか?

新制度では、裁判所が消去禁止命令を出すことで、審理中のログ消去リスクを防げるようになりました。

従来は、別途「ログ保存の仮処分」を申し立てる必要がありましたが、発信者情報開示命令の申立て内で、接続事業者に対して発信者情報の消去を禁止する命令を同時に出してもらえるようになりました。これにより、時間との闘いだった開示請求において、証拠の保全および被害者の救済が図られやすくなりました。

どのような投稿内容なら開示請求が認められますか?

開示請求が認められるかどうかは、投稿内容が法的に権利侵害にあたるかどうかで決まります。ここでは、実際に開示が認められやすい具体的なケースを解説します。

名誉毀損による開示請求が認められる条件は?

名誉毀損とは、具体的な事実を挙げて個人や企業の社会的評価を低下させる行為です。

例えば「A社の部長は不倫している」「あの店の店長は過去に自己破産したことがある」といった投稿が該当します。重要なのは、内容の真偽は関係ないという点です。たとえ事実であっても、公共の利益に関わらない個人的な暴露であれば名誉毀損となります。企業の場合、根拠のない悪評により売上や信用に実害が生じている場合は、開示が認められやすくなります。

プライバシー侵害や肖像権侵害での開示請求はどんなケースですか?

プライバシー侵害は個人情報の無断公開、肖像権侵害は写真や動画の無断掲載が典型例です。

プライバシー侵害では、氏名、住所、電話番号、勤務先、病歴などの一般に公開されたくない情報を本人の許可なくネットに晒す行為が該当します。肖像権侵害では、街中で勝手に撮影された写真のSNS投稿や、過去の写真の無断公開などが問題となります。これらは情報が真実であっても権利侵害となるため、開示請求が認められやすい傾向にあります。

SNSや掲示板によって開示の難易度は変わりますか?

プラットフォームによって開示請求の難易度や注意点が異なります。

X(旧Twitter)は、2022年の法改正でログイン時IPアドレスも開示対象となったため、以前より特定しやすくなりました。5ch等の匿名掲示板は、IPアドレスが記録されているため比較的開示が認められやすいです。一方、InstagramやLINEのDM非公開アカウントでの投稿は「特定電気通信」に該当しないため、発信者情報開示請求の対象外となり、開示は極めて困難です。また、海外法人が運営するサービスの場合、手続きに時間がかかる傾向があります。

開示請求の手続きと費用はどのくらいかかりますか?

開示請求を進める際の具体的な手順と、必要な費用・期間について詳しく解説します。

開示請求の具体的な手順を教えてください

開示請求は以下の4つのステップで進めます。

STEP1: 証拠の収集・保全 - まず誹謗中傷の投稿をスクリーンショットで保存します。投稿内容、日時、URL、アカウント名がすべて一枚に収まるよう撮影することが重要です。

STEP2: 発信者情報開示命令の申立て - 裁判所に申立てを行い、サイト管理者に対してIPアドレスの開示を求めます。

STEP3: 消去禁止命令の取得 - 接続事業者のログが消去されないよう、裁判所から消去禁止命令を出してもらいます。

STEP4: 氏名・住所の開示 - IPアドレスから特定した接続事業者に対し、契約者の氏名・住所の開示を求めます。これにより加害者の身元が判明します。

弁護士費用と裁判費用の目安はどのくらいですか?

開示請求にかかる費用は、総額50〜80万円程度が一般的です。

弁護士費用の内訳は、相談料が30分5,000〜1万円(初回無料の事務所も多数)、着手金が20〜30万円、成功報酬が20〜30万円程度です。これに加えて、裁判所への実費として収入印紙代や郵便切手代など数万円がかかります。慰謝料の相場は10〜50万円程度のため、費用倒れのリスクもあることを理解しておく必要があります。ただし、慰謝料に加えて、発信者情報開示請求に要した弁護士費用や手続実費の一部ないし全部を、加害者に負担させることができるケースも増えてきています。

加害者特定までの期間と成功率を上げるポイントは?

改正法後も加害者特定まで3ヶ月から1年程度かかるのが一般的です。

成功率を上げる最も重要なポイントは迅速な行動です。プロバイダのログ保存期間は3〜6ヶ月のため、この期間内に手続きを開始することが必須です。また、URLや日時が明確な質の高い証拠を十分に揃え、権利侵害の明白性を法的観点から具体的に主張することも重要です。海外法人が運営するサービスの場合はさらに時間がかかるため、ネット投稿トラブルに強い弁護士に早期に相談することをおすすめします。

よくある質問

開示請求に関してよく寄せられる質問について、具体的にお答えします。

開示請求が認められない・失敗するケースはどんな時ですか?

開示請求が失敗する最も多い理由は、ログ保存期間の経過です。

投稿から3〜6ヶ月を過ぎるとプロバイダのログが自動消去され、物理的に加害者を特定できなくなります。次に多いのが、投稿内容が単なる意見や感想と判断されるケースです。「あの店はまずい」「彼の作品はつまらない」といった抽象的な批判は、権利侵害の明白性が認められません。また、投稿者が海外サーバーやネットカフェのWi-Fiを利用している場合も、IPアドレスから個人を特定することが困難になります。

加害者を特定した後はどのような選択肢がありますか?

加害者特定後は、民事と刑事の両面から対応を選択できます。

最も一般的なのは損害賠償請求で、まず内容証明郵便等の書面による請求から始めて示談交渉を行い、合意できなければ民事訴訟を提起します。慰謝料だけでなく、謝罪文の掲載今後の誹謗中傷禁止を条件に含めることも可能です。悪質なケースでは、名誉毀損罪や侮辱罪で刑事告訴することもできます。民事と刑事は同時進行も可能なので、被害の程度や加害者の反省度合いを見て、弁護士と相談しながら最適な方法を選択することが大切です。

弁護士に依頼せずに自分で開示請求はできますか?

理論上は可能ですが、実際には難易度が高くご自分で進めるのは難しい手続きであると言わざるを得ないため、、弁護士への依頼を強く推奨します。

開示請求は法律とITの両面で高度な専門知識が必要な手続きです。裁判所への申立書類の作成、プロバイダとの交渉、海外法人への対応など、専門的で複雑な手続きを個人で行うのは現実的ではありません。また、ログ保存期間という時間制限がある中で、経験豊富な弁護士なら最短ルートで手続きを進める方法を知っているため、成功の期待値は格段に上がります。多くの法律事務所が初回相談無料を実施しているので、まずは複数の事務所に相談して比較検討することをおすすめします。

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不安がある方へ

弁護士、専門家へのご相談のご経験があるかはそこまで多くないと思います。ちょっとしたポイントを抑えていただくだけで、ご自身のお悩みの解決方法が見つかりやすいことがあります。ご不安を感じられる方はぜひ、このポイントを抑えたうえでご相談ください。

  • POINT 1

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  • POINT 3

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    相談をスムーズに進めるために、「自分はどうしたいのか」を整理しておきましょう。望む結果が明確だと、弁護士もそれに合わせて具体的なアドバイスがしやすくなります。