離婚後の財産分与はいつまで請求できる?期限と対処法を解説

離婚後の財産分与は、離婚成立から2年以内に請求する必要がありますが、2024年の民法改正により5年に延長されることが決定しました。期限を過ぎても、相手の同意があれば請求可能で、財産隠しなど不法行為があった場合は損害賠償請求もできます。財産分与は夫婦で築いた財産を原則2分の1ずつ分ける制度で、専業主婦でも正当な権利として認められています。
財産分与の請求期限は何年ですか?

離婚後の財産分与請求には法律で定められた期限があります。この期限は「除斥期間」と呼ばれ、時効とは異なり期間が過ぎると自動的に権利が消滅する厳格な制限です。現在は離婚成立から2年ですが、法改正により大きく変わることになりました。
現行法では離婚から2年以内
現在の民法768条2項により、財産分与の請求は離婚成立から2年以内に行う必要があります。この起算点は離婚の形式により異なります。協議離婚では離婚届の受理日、調停離婚では調停成立日、裁判離婚では判決確定日から起算されます。
多くの方が離婚後の新生活に追われ、気づいた時には期限が迫っているケースが少なくありません。特に除斥期間は時効と違い中断や延長ができないため、一度期限を過ぎると請求権を失います。
2024年民法改正で5年に延長決定
2024年5月の民法改正により、財産分与の請求期間が離婚から5年に延長されることが決定しました。。
改正の背景には、共働き世帯の増加による財産の複雑化や、DV被害者が離婚直後に請求手続きを取ることの困難さがあります。また、諸外国と比較して2年という期間があまりにも短すぎるという指摘も影響しています。
改正法の適用対象となる人
新しい5年ルールの適用対象は施行時期により異なります。改正法施行後に離婚する方は5年の期間が適用されます。
ご自身のケースがどちらに該当するか不明な場合は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。期限の計算を誤ると取り返しのつかない事態になる可能性があるためです。
財産分与の対象となる財産は何ですか?
財産分与を請求する際、どの財産が対象となるかを正しく理解することが重要です。基本的には婚姻期間中に夫婦で協力して築いた財産が対象となりますが、すべての財産が該当するわけではありません。
共有財産として分与対象になるもの
婚姻中に取得した財産は、名義に関わらず原則として共有財産として扱われます。具体的には預貯金、不動産、自動車、有価証券、生命保険の解約返戻金などが該当します。
特に重要なのは、専業主婦であっても家事労働による貢献が認められる点です。夫名義の預金や不動産であっても、妻の家事や育児による支えがあって形成された財産と見なされ、分与の対象となります。退職金や年金についても、婚姻期間に対応する部分は分与対象です。
特有財産として対象外になるもの
一方で、結婚前から所有していた財産や相続により取得した財産、夫婦の一方に贈与されたことが明らかな財産は特有財産として分与対象外となります。例えば、独身時代の貯金、親から相続した不動産、親族から夫婦の一方に贈与されたことが明らかな現金などがこれに該当します。
ただし、特有財産であっても婚姻中に夫婦で協力して価値を維持・増加させた場合は、その増加分が分与対象となることがあります。たとえば、夫が相続した実家を夫婦でリフォームして価値を上げた場合などです。
借金やローンの取り扱い
住宅ローンなど夫婦の生活のための借金は、財産分与で考慮されます。不動産の価値からローン残高を差し引いた金額が分与対象となります。
一方、ギャンブルや個人的な趣味による借金は、その配偶者個人の債務として扱われ、財産分与では考慮されません。ただし、生活費の不足を補うための借金であれば、夫婦共同の債務として扱われる可能性があります。
期限を過ぎても財産分与請求できますか?
財産分与の請求期限を過ぎてしまった場合、除斥期間経過により権利が消滅するので、財産分与を受けることはできません。しかし、状況によっては別の方法で財産を取得できる可能性があります。ここでは、期限後でも検討できる対処法を解説します。
元配偶者との新たな合意が必要
除斥期間経過により財産分与請求権は消滅しますが、当事者同士の合意による財産分与はいつでも可能です。元配偶者が話し合いに応じてくれる場合は、期限を過ぎていても財産分与を受けられます。
ただし、口約束では後のトラブルの原因となるため、必ず公正証書を作成しましょう。公正証書があれば、相手が約束を守らない場合に強制執行も可能となります。元配偶者との関係が良好であれば、まずは話し合いを試みる価値があります。
財産隠しは不法行為として請求可能
離婚時に元配偶者が意図的に財産を隠していたことが後から発覚した場合、不法行為に基づく損害賠償請求ができます。この請求権の時効は、財産隠しを知った時から3年かつ財産隠し行為時から20年です。
たとえば、離婚から3年後に元配偶者の隠し口座が発覚した場合、その時点から3年以内であれば損害賠償請求が可能です。財産分与の除斥期間とは別の権利として行使できるため、証拠があれば積極的に請求を検討すべきです。
共有名義の不動産は分割請求が可能
離婚後も夫婦共有名義の不動産が残っている場合、共有物分割請求により解決できます。これは財産分与とは異なる権利で、時効がありません。
共有物分割請求では、現物分割、価格賠償、換価分割の3つの方法があります。多くの場合、不動産を売却して代金を分ける換価分割か、一方が他方の持分を買い取る価格賠償で解決します。財産分与の期限を過ぎていても、この方法なら権利を実現できます。
財産分与の金額はどう決まりますか?
財産分与の金額は、基本的に夫婦が婚姻中に築いた共有財産を2分の1ずつ分けるという原則に基づいて決定されます。しかし、個別の事情により割合が変更されることもあります。
原則は2分の1ルールで計算
財産分与の基本は「2分の1ルール」です。これは夫婦の貢献度を平等と見なす考え方に基づいています。専業主婦であっても、家事や育児を通じて配偶者の仕事を支えたと評価され、財産形成への貢献が認められます。
たとえば、夫名義の預金2000万円と妻名義の預金500万円がある場合、合計2500万円を2分の1ずつ、つまり各1250万円となるよう調整します。この場合、夫から妻へ750万円を分与することになります。
特別な事情による割合の修正
ただし、一方の特別な才能や努力により財産が形成された場合、貢献度の割合が修正されることがあります。医師、経営者、プロスポーツ選手など、特殊な技能により高収入を得ている場合が該当します。
また、婚姻期間が極端に短い場合や、一方が財産の浪費や隠匿を行った場合も、割合が修正される可能性があります。裁判例では、6対4や7対3といった割合での分与が認められたケースもありますが、基本は2分の1という原則は変わりません。
税金を考慮した分与方法の選択
財産分与は原則非課税ですが、不動産を分与する場合は譲渡所得税に注意が必要です。取得時より価値が上がっている不動産を渡すと、値上がり益に課税される可能性があります。
税金を考慮した最適な分与方法を選ぶため、税理士への相談も検討しましょう。
よくある質問
財産分与について、多くの方が疑問に思う点をQ&A形式でまとめました。実際のケースでよくある質問とその回答を確認しておきましょう。
別居中の財産も分与対象になりますか?
別居時点までに築いた財産は分与対象となります。夫婦の協力関係は別居により事実上終了すると考えられるため、別居後に各自が取得した財産は原則として分与対象外です。
ただし、別居の理由や期間、その間の生活費の負担状況などは、民法768条3項の「その他一切の事情」として財産分与の額や方法に影響することがあります。
年金も財産分与の対象になりますか?
厚生年金は年金分割制度により分割可能です。婚姻期間中の保険料納付記録を分割し、将来の年金受給額に反映させることができます。
年金分割には合意分割と3号分割の2種類があります。合意分割は夫婦の合意により最大2分の1まで分割でき、3号分割は国民年金第3号被保険者であった者(主に妻)が、当事者間の合意や裁判所の決定がなくても単独で2分の1を分割できる制度です。年金分割の請求期限は離婚から2年なので、財産分与と併せて手続きすることが重要です。
財産分与の話し合いがまとまらない時は?
話し合いで解決しない場合は、家庭裁判所の調停を申し立てることができます。調停では、中立的な調停委員が間に入り、双方の主張を聞きながら合意形成を支援します。
調停でも合意に至らない場合は、審判や訴訟に移行します。裁判所が財産の詳細を調査し、法律に基づいて分与額を決定します。手続きが複雑になるため、早い段階で弁護士に相談することで、有利な解決につながる可能性が高まります。
一覧に戻る