遺産相続の弁護士費用はいくら?料金相場と支払いを抑える方法

遺産相続の弁護士費用は、着手金20~50万円、成功報酬は獲得した遺産の10~20%が相場です。費用は依頼者が全額負担するのが原則ですが、相続人全員の合意があれば遺産から支払うことも可能です。複数の事務所で見積もりを取ることで、費用を抑えられる可能性があるか確認することができます。

遺産相続の弁護士費用は何で決まる?料金体系と相場
遺産相続で弁護士に依頼する際、最も気になるのが費用面ですよね。弁護士費用は事務所によって異なりますが、多くの法律事務所では旧日本弁護士連合会の報酬基準を参考に料金を設定しています。
弁護士費用の基本的な内訳
弁護士費用は大きく分けて着手金と成功報酬の2つで構成されています。着手金は依頼時に支払う固定費用で、成功報酬は問題が解決した際に支払う変動費用です。
相談料は初回無料の事務所が増えていますが、2回目以降は30分5,000円~1万円程度かかることが一般的です。また、裁判所への申立てに必要な印紙代や切手代などの実費は別途必要になります。
日当については、弁護士が遠方の裁判所に出頭する場合などに発生し、半日で3~5万円、1日で5~10万円程度が相場となっています。
着手金の相場と決まり方
着手金は事案の複雑さと請求額によって変動します。単純な遺産分割協議であれば20万円程度から、調停や審判に発展する可能性がある場合は30~50万円程度が相場です。
相続人の数が多い場合や、不動産など評価が難しい財産が含まれる場合は、着手金が高額になる傾向があります。これは、調査や交渉にかかる時間が増えるためです。また、遺言書の有効性を争う場合など、特殊な法的論点がある場合も着手金は上がります。
着手金は結果に関わらず返金されないのが原則ですが、最近では着手金無料のプランを用意している事務所も増えています。ただし、その場合は成功報酬の割合が高めに設定されていることが多いため、トータルコストで比較することが重要です。
成功報酬の計算方法と相場
成功報酬は経済的利益(獲得した遺産額)に応じて計算されます。一般的な計算方法は日本弁護士連合会報酬等基準を基にした以下が参考になります。
| 経済的利益の額 | 報酬金の割合 |
|---|---|
| 300万円以下 | 16% |
| 300万円超~3,000万円 | 10%+18万円 |
| 3,000万円超~3億円 | 6%+138万円 |
| 3億円超 | 4%+738万円 |
例えば、1,000万円の遺産を獲得した場合、成功報酬は「1,000万円×10%+18万円=118万円(税別)」となります。この計算方法は多くの事務所で採用されていますが、事務所によって独自の料金体系を設定している場合もあるため、必ず事前に確認しましょう。
経済的利益の考え方も事務所によって異なる場合があります。相手方との交渉で増額した分だけを経済的利益とする事務所もあれば、獲得した遺産全体を経済的利益とする事務所もあります。
遺産相続の弁護士費用は誰が払う?負担ルールと例外
弁護士費用の負担については、多くの方が誤解されているポイントです。ここでは原則と例外について詳しく解説します。
原則は依頼者が全額負担
遺産相続における弁護士費用は、依頼した本人が全額負担するのが原則です。たとえ相手方に非があると感じていても、日本では敗訴者負担制度が採用されていないため、相手方に自分の弁護士費用を請求することはできません。
この点は、アメリカなどの敗訴者負担制度を採用している国とは大きく異なります。日本では、各当事者が自分の弁護士費用を負担することで、訴訟を起こす権利を保障しているという考え方に基づいています。
複数の相続人がそれぞれ弁護士を立てた場合も、各自が自分の弁護士費用を支払います。これは、それぞれの相続人の利益が必ずしも一致しないためです。
遺産から支払える2つの例外
弁護士費用を遺産から支払える例外として、相続人全員の合意がある場合があります。特に、遺産分割の手続きが複雑で、全員の利益のために弁護士が必要な場合には、この方法が取られることがあります。
この場合、遺産分割協議書に「弁護士費用は遺産から支払う」という条項を明記しておくことが重要です。後から「そんな約束はしていない」というトラブルを防ぐためです。ただし、税務上は各相続人が按分して負担したものとして扱われる場合があるため、税理士にも相談することをおすすめします。
もう一つの例外は、弁護士が遺言執行者に指定されている場合です。遺言執行者の報酬は相続財産から支払うことが民法第1021条で認められています。これは、遺言執行が特定の相続人のためではなく、故人の遺志を実現するための業務だからです。
相続税の控除対象にならない理由
弁護士費用は相続税の計算上、債務として控除できません。これは、弁護士費用が被相続人(亡くなった方)の債務ではなく、相続人が自らの権利を守るために支出した費用と見なされるためです。
ただし、遺産分割によって取得した財産を売却する際の譲渡所得税の計算では、弁護士費用の一部を取得費として計上できる場合があります。これは個別の事情によって異なるため、詳細は税理士に相談することをおすすめします。
相続税の申告に関する税理士費用も同様に控除対象外ですが、これらの専門家費用は必要経費として考え、相続財産の中から支払うことを相続人間で合意しておくケースも多く見られます。
弁護士費用を安く抑える5つの具体的方法
弁護士費用を少しでも抑えたいと考えるのは当然のことです。ここでは実践的な費用削減の方法を紹介します。
複数事務所で見積もりを比較する
弁護士費用を抑える有効な方法は、複数の法律事務所から見積もりを取って比較することです。最低でも3か所程度の事務所に相談することをおすすめします。
初回相談無料の事務所を活用すれば、費用をかけずに複数の弁護士の意見を聞くことができます。その際、料金体系だけでなく、弁護士の経験や相性、事務所の対応なども含めて総合的に判断しましょう。見積もりを依頼する際は、遺産の概算額や相続人の数など、基本的な情報を整理しておくとスムーズです。
オンライン相談に対応している事務所も増えているため、遠方の事務所でも気軽に相談できます。地域によって弁護士費用の相場が異なることもあるため、幅広く検討することが大切です。
法テラスの利用条件と手続き
経済的に余裕がない場合は、法テラスの民事法律扶助制度を利用できる可能性があります。収入と資産に関する要件がありますが、該当する場合は弁護士費用を立て替えてもらい、月額5,000円~1万円程度の分割返済が可能です。
利用条件は、単身者の場合で月収が約20万円以下、資産が180万円以下であることが目安です。家族がいる場合は、人数に応じて基準額が上がります。また、勝訴の見込みがあることも要件の一つです。申請には収入証明書や資産に関する書類が必要になるため、事前に準備しておきましょう。
法テラスを利用した場合、弁護士費用も通常より低く設定されています。ただし、弁護士を自由に選べない場合があることや、審査に時間がかかることがデメリットとして挙げられます。
共同で依頼して費用を分担する
同じ立場の相続人が複数いる場合は、共同で一人の弁護士に依頼することで費用を分担できます。例えば、兄弟3人が同じ意見で、他の相続人と交渉する場合などです。
この方法のメリットは、弁護士費用を人数で割ることができるため、一人あたりの負担が大幅に軽減されることです。また、弁護士も同じ説明を複数回する必要がないため、効率的に業務を進められます。ただし、後から意見の相違が生じた場合、利益相反となって弁護士が辞任せざるを得なくなる可能性があります。
共同依頼をする場合は、事前に相続人間で十分に話し合い、方針を統一しておくことが重要です。また、費用の負担割合や、意見が分かれた場合の対応についても、書面で取り決めておくとトラブルを防げます。
よくある質問
弁護士費用は分割払いできますか?
着手金の分割払いは多くの法律事務所で対応可能です。 特に遺産分割の場合、最終的に遺産を受け取れる見込みがあるため、着手金の分割払いや、成功報酬の遺産からの支払いに応じてもらえるケースが多くあります。
分割回数は事務所によって異なりますが、一般的には2~6回程度の分割が可能です。また、クレジットカード払いに対応している事務所も増えています。経済状況に不安がある場合は、初回相談時に遠慮なく相談してみましょう。事務所によっては、着手金を低く設定し、成功報酬を高めにする料金プランを用意している場合もあります。
相手に弁護士費用を請求できますか?
原則として相手方に弁護士費用を請求することはできません。 日本では、各当事者が自分の弁護士費用を負担する「各自負担の原則」が採用されています。これは、訴訟を起こす権利を保障するための制度です。
ただし、相手方の不法行為によって訴訟を余儀なくされた場合など、極めて例外的なケースでは、損害賠償の一部として弁護士費用の請求が認められることがあります。相手方が明らかに不当な主張をしている場合でも、弁護士費用の請求は困難であることを理解しておく必要があります。
見積もり額より高くなることはありますか?
事前の説明なく見積もり額を大幅に超えることは基本的にありません。 ただし、当初の想定と異なる事態が発生した場合、追加費用が必要になることがあります。例えば、協議で解決予定だったものが調停に発展した場合などです。
信頼できる弁護士であれば、追加費用が発生する可能性がある場合は必ず事前に説明し、依頼者の了承を得てから進めます。契約時には、どのような場合に追加費用が発生するか、その場合の料金体系はどうなっているかを明確にしておきましょう。また、定期的に進捗報告を受け、費用の状況を把握しておくことも大切です。心配な場合は、費用の上限を設定してもらうことも可能な場合があります。
一覧に戻る