【2025年11月】相続登記のオンライン申請は自分でできる?必要書類と手順を解説
※この記事の情報は2025年11月時点の情報となります。最新の情報は各公式サイトをご確認ください。
相続登記のオンライン申請は、Windows PCとマイナンバーカード、ICカードリーダーがあれば自分で手続き可能です。ただし申請データの送信はオンラインでも、戸籍謄本などの原本は別途郵送が必要なハイブリッド方式である点に注意が必要です。2024年4月から相続登記が義務化され、3年以内に申請しないと10万円以下の過料が科される可能性があります。
相続登記のオンライン申請に必要な準備
相続登記をオンラインで申請するには、事前準備が成功の鍵を握ります。必要な環境や書類を整えることで、スムーズな申請が可能になります。
Windows PCとマイナンバーカードは必須
相続登記のオンライン申請には、Windows 10または11のパソコンが必要不可欠です。法務局の「申請用総合ソフト」はWindows専用で、MacやiPad、スマートフォンでは利用できません。加えて、本人確認のために電子証明書付きのマイナンバーカードが必要です。
マイナンバーカードの電子証明書には有効期限があり、発行から5回目の誕生日までとなっています。期限切れの場合は市区町村の窓口で更新手続きが必要です。また、マイナンバーカードを読み取るためのICカードリーダーも準備します。価格は1,500円から3,000円程度で、家電量販店やネット通販で購入できます。公的個人認証サービス対応の製品を選ぶことが重要です。
相続パターン別の必要書類を揃える
オンライン申請でも必要書類は窓口申請と同じです。相続のパターンによって必要な書類が異なるため、自分のケースを確認して漏れなく収集することが大切です。
遺産分割協議による相続の場合、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本一式、相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書、遺産分割協議書が必要です。遺言書がある場合は、遺言書と被相続人の死亡記載の戸籍謄本、相続人の戸籍謄本と住民票で足ります。
いずれの場合も固定資産評価証明書の取得が必要で、これは不動産所在地の市区町村役場で取得します。書類収集には時間がかかるため、早めに着手することをおすすめします。特に古い戸籍は取得に2週間程度かかることもあるため、余裕を持った準備が必要です。
申請用総合ソフトの設定と登録免許税の計算
法務局の「登記・供託オンライン申請システム」から申請用総合ソフトをダウンロードし、インストールします。初回起動時には申請者情報の登録が必要で、IDとパスワードを設定します。この初期設定でつまずく方が多いため、公式マニュアルを参照しながら進めることが大切です。
登録免許税は固定資産評価額の0.4%で計算します。例えば評価額2,000万円の不動産なら8万円となります。オンライン申請では電子納付(ペイジー)が利用でき、インターネットバンキングから支払いが可能です。事前に利用する金融機関がペイジー対応か確認し、インターネットバンキングの契約を済ませておきましょう。納付期限は申請受付の翌業務日までと短いため、申請後すぐに納付できる準備が重要です。
オンライン申請の具体的な手順と注意点
準備が整ったら、実際の申請作業に入ります。手順を理解して慎重に進めることで、スムーズな申請が可能になります。
申請書の作成から電子署名まで
申請用総合ソフトにログインしたら「登記申請書(権利に関する登記)(4)所有権の移転(相続)【署名要】」を選択し、必要事項を入力していきます。登記の原因には被相続人の死亡日を「令和○年○月○日 相続」と記載し、不動産の表示は登記事項証明書の記載通りに正確に入力します。
入力が完了したら、相続関係説明図などのPDFファイルを添付します。その後、マイナンバーカードとICカードリーダーを使って電子署名を付与します。署名用電子証明書のパスワード(6~16桁の英数字)を入力する際は、連続で間違えるとロックがかかるため慎重に入力することが大切です。
申請データ送信後の重要な作業
申請データを法務局へ送信すると、受付番号が記載された「受付のお知らせ」が表示されます。この番号は後の手続きで必要になるため、必ず保存しておきます。
次に登録免許税を納付しますが、申請の翌日までに納付しないと申請が無効になります。表示された納付情報を使って速やかに支払いを完了させましょう。
最も重要なのは、申請受付日の翌日から起算して2日以内(休日除く)に添付書類の原本を法務局へ郵送することです。戸籍謄本、遺産分割協議書、印鑑証明書などの原本一式を、「書面により提出した添付情報の内訳表」を表紙にしてまとめます。原本還付を希望する場合は、各書類のコピーに「原本と相違ありません」と記載し、署名押印したものも同封します。レターパックプラスや簡易書留など、追跡可能な方法で郵送することが重要です。
補正指示への対応と登記完了の確認
申請後1~2週間程度で登記が完了しますが、書類に不備があると「補正のお知らせ」が申請用総合ソフトに届きます。よくある補正内容は住所や氏名の誤字脱字、登録免許税の計算ミスなどです。
補正指示には期限があるため、通知を受けたら速やかに対応する必要があります。定期的にソフトを起動して確認することが大切です。ただし、登記原因証明情報(相続関係説明図)等に補正では対処できない重大な誤りや記載もれがあると、補正は認められず、申請をいったん取り下げて、もう一度最初からやり直さなければならない場合もありますので気を付ける必要があります。
無事に登記が完了すると「登記完了証」と「登記識別情報通知書」がダウンロード可能となります。登記識別情報通知書は従来の権利証に代わる重要書類のため、書面での受け取りを推奨します。申請情報の「その他の事項」欄で申出し、返信用封筒を同封しておけば、郵送で受け取ることができます。
自分でやるか司法書士に依頼するかの判断基準
オンライン申請は便利な制度ですが、誰でも簡単にできるとは限りません。自分の状況を客観的に判断することが重要です。
自力申請が向いているケース
PC操作に慣れていて、平日に時間的余裕がある方は自力での申請を検討できます。特に相続人が少なく、不動産が1か所のみで権利関係が単純な場合は、比較的スムーズに手続きを進められます。
ただし、申請用総合ソフトの操作は直感的でなく、マニュアルを読み込む必要があります。また、戸籍謄本の読解や正確な書類作成など、細かい作業が求められます。これらの作業が苦にならず、ミスなく進められる自信がある方であれば、自力申請は十分に可能です。費用面では、司法書士報酬(10~30万円程度)を節約できるメリットがあります。
司法書士への依頼を検討すべきケース
相続関係が複雑な場合や時間的余裕がない方は、司法書士への依頼を検討することをおすすめします。代襲相続がある、相続人が多数いる、不動産が複数ある、といったケースでは手続きが複雑化します。
司法書士に依頼すれば、戸籍収集から申請まですべて代行してもらえます。特に法務局から補正指示が来た場合の対応も任せられるため、精神的な負担が大幅に軽減されます。オンライン申請に対応している司法書士なら、不動産が遠方でも全国どこからでも依頼可能です。途中で挫折した場合でも、その段階から司法書士に引き継ぐことができるため、まずは自分で挑戦してみるという選択肢もあります。
よくある質問
オンライン申請は完全にネットで完結しますか?
いいえ、完全にはネットで完結しません。 オンライン申請という名称ですが、実際は申請データの送信のみがオンラインで、戸籍謄本や遺産分割協議書などの原本は法務局へ郵送する必要があります。このハイブリッド方式である点を理解しておくことが重要です。また、申請にはWindows PCが必須で、スマートフォンやMacでは申請できません。
相続登記の義務化で何が変わりましたか?
2024年4月1日から相続登記が義務化され、相続開始を知った日から3年以内の申請が必要になりました。 期限内に申請しないと10万円以下の過料が科される可能性があります。これは過去の相続にも適用され、2024年4月1日時点で未登記の不動産は原則として2027年3月31日までに申請する必要があります。義務化により、放置されていた空き家問題の解決や、所有者不明土地の発生防止が期待されています。(※2024年4月以降に相続で取得したことを知った場合は、その日から3年以内。)
費用を抑える方法はありますか?
最も費用を抑える方法は、自分で申請することです。 司法書士報酬(10~30万円程度)が不要になるため、登録免許税と書類取得費用のみで済みます。また、法定相続情報一覧図を事前に取得しておけば、戸籍謄本の原本還付手続きが不要になり、他の相続手続きでも活用できます。複数の不動産がある場合は、まとめて申請することで手間と費用を削減できます。
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