不動産登記のオンライン申請は自分でできる?やり方と必要書類を解説【2025年11月時点】
※この記事の情報は2025年11月時点の情報となります。最新の情報は各公式サイトをご確認ください。
不動産登記のオンライン申請は、マイナンバーカード等の電子証明書とパソコンとICカードリーダーがあれば自分でも申請可能です。司法書士に依頼すると10〜30万円かかることもある手続きを、実費の登録免許税だけで済ませられます。ただし、電子証明書の取得やICカードリーダーの準備など初期設定に手間がかかるため、時間に余裕がない場合は法律専門家への依頼も検討すべきです。
2024年4月から相続登記が義務化され、3年以内に申請しないと10万円以下の過料が科される可能性があります。この記事では、不動産登記のオンライン申請について、必要な準備から具体的な手順まで詳しく解説します。
不動産登記のオンライン申請とは何ですか?
不動産登記のオンライン申請とは、法務局の窓口に行かずにインターネットを使って登記手続きを行うサービスです。正式名称は「登記・供託オンライン申請システム」といい、法務省が提供する無料のサービスです。
オンライン申請でできる3つのサービス
不動産登記に関するオンラインサービスには、目的別に3つの種類があります。
| サービス名 | できること | 必要なもの |
|---|---|---|
| 申請用総合ソフト | 登記の申請 | 専用ソフト・電子証明書 |
| 登記情報提供サービス | 登記情報の閲覧 | Webブラウザのみ |
| かんたん証明書請求 | 登記事項証明書の請求 | Webブラウザのみ |
最も重要なのは登記・供託オンライン申請システムの「申請用総合ソフト」で、相続登記や抵当権抹消登記などの申請手続きができます。平日の8時30分から21時まで利用可能で、仕事が終わった後でも手続きを進められるのが大きなメリットです。オンライン申請のメリットは時間と場所の自由
オンライン申請の最大のメリットは、法務局に行く必要がないことです。法務局は平日の17時15分までしか開いていないため、仕事を休んで手続きに行く必要がありました。しかしオンライン申請なら、自宅のパソコンから夜間でも手続きできます。
また、申請の処理状況もシステム上でリアルタイムに確認できます。「今どこまで進んでいるのか」「補正が必要なのか」といった情報が一目でわかり、法務局に電話で問い合わせる必要もありません。特に遠方の不動産を相続した場合、現地の法務局まで行かずに済むのは大きな利点です。
特例方式により書類の一部は郵送が必要
オンライン申請には「特例方式」という制度があり、戸籍謄本や印鑑証明書などの原本は別途郵送する必要があります。完全にオンラインで完結するわけではない点に注意が必要です。
具体的には、申請データを送信した後、2日以内(土日祝を除く)に法務局必着で書類を郵送しなければなりません。この期限を過ぎると申請が却下されるため、書留郵便やレターパックなど追跡可能な方法で速やかに送る必要があります。この点が、オンライン申請の最も注意すべきポイントといえるでしょう。
オンライン申請(申請用総合ソフト利用の場合)に必要な準備は何ですか?
オンライン申請を始めるには、パソコン環境の整備から電子証明書の取得まで、いくつかの準備が必要です。これらの初期設定は少し手間がかかりますが、一度準備すれば今後の手続きで繰り返し使えます。
パソコン環境とICカードリーダーの準備
申請用総合ソフトによる登記申請ははWindows10またはWindows11のパソコンが必要です。残念ながらMacやスマートフォンでは全ての機能は使用できません
。さらに、マイナンバーカードを読み取るためのICカードリーダライタという機器も用意します。家電量販店やネット通販で2,000〜3,000円程度で購入できます。「マイナンバーカード対応」と明記された製品を選び、付属のドライバソフトをインストールすることで、パソコンがカードを認識できるようになります。
マイナンバーカードの電子証明書を確認
オンライン申請では本人確認のためにマイナンバーカードの電子証明書を使用します。カード作成時に設定した6〜16桁のパスワードが必要になるため、忘れた場合は市区町村役場で再設定が必要です。
電子証明書の有効期限は発行から5回目の誕生日までです。期限が切れていると申請できないため、事前に確認しておくことが重要です。有効期限はマイナポータルなどで確認でき、期限切れの場合は役所で更新手続きを行います。この電子証明書は、確定申告などの他の行政手続きでも使えるため、取得しておいて損はありません。
申請用総合ソフトのインストールと初期設定
法務省の公式サイトから「申請用総合ソフト」を無料でダウンロードし、パソコンにインストールします。このソフトが、申請書の作成から電子署名、データ送信まですべての作業を行うメインツールとなります。
インストール後、同じサイトで「申請者情報登録」を行い、IDとパスワードを取得します。この際、氏名や住所などの基本情報を入力しますが、登録したIDとパスワードは今後ログインに必要なため、安全な場所に保管してください。初期設定は30分程度で完了しますが、パソコンが苦手な方には少しハードルが高く感じるかもしれません。
相続登記のオンライン申請手順はどうすればいいですか?
実際に相続登記をオンラインで申請する手順を、具体的に解説します。基本的な流れを理解すれば、他の登記手続きにも応用できます。
申請書の作成と必要情報の入力方法
申請用総合ソフトを起動し、ログインしたら「申請書の作成」を選択します。様式一覧から「登記申請書(権利に関する登記)(4)所有権移転(相続)【署名要】」を選び、画面の指示に従って情報を入力していきます。
最も重要なのは不動産の表示部分です。土地の地番や建物の家屋番号を、登記事項証明書を見ながら一字一句間違えないよう正確に入力します。他にも、不動産の表示を入力する方法は、オンライン物件検索を利用する方法もあり、入力ミスなどを防ぐためにもこちらの方法もおすすめです。また、被相続人(亡くなった方)と相続人の情報も、戸籍謄本と照らし合わせながら慎重に入力します。入力ミスがあると補正や却下の原因となるため、何度も見直しをすることが成功のポイントです。
電子署名の付与と登録免許税の納付
申請書の作成が完了したら、ICカードリーダーにマイナンバーカードをセットし、電子署名を付与します。署名用電子証明書のパスワードを入力することで、本人による申請であることが証明されます。
署名後、申請データを送信すると受付番号が発行されます。この番号は今後の手続きで必要になるため必ずメモしておきます。次に登録免許税を納付しますが、法務局の審査過程で納付が確認できない場合、登記完了が保留・却下されることがあります。。インターネットバンキングやPay-easy対応のATMから、表示された納付情報を使って速やかに支払いを完了させましょう。
添付書類の郵送と登記完了までの流れ
オンライン申請でも、戸籍謄本や印鑑証明書などの原本は郵送が必要です。申請用総合ソフトから「書面により提出した添付情報の内訳表」を印刷し、署名・押印したものを書類の一番上に付けます。
これらの書類を申請受付日の翌日から起算して2日以内に法務局必着で送る必要があるため、書留郵便やレターパックを使って確実に届くよう手配します。書類が法務局に到着し、審査が完了すると、通常1〜2週間で登記が完了します。
オンライン申請をした場合でも、登記識別情報通知と登記完了証については、書面で交付を受けることができます。
書面ではなくデータとしてオンラインで受領することも可能です。
法務局に書類を郵送で提出する際に、返信用封筒をつけておくと登記識別情報通知、登記完了証、原本還付された書類を郵送で受領することができます。
よくある質問
オンライン申請で失敗したらどうなりますか?
申請内容に不備があっても、すぐに却下されるわけではありません。法務局から「補正指示」という通知が届き、指定された期限内に修正すれば手続きを継続できます。
補正の内容は、誤字の修正や不足書類の追加など様々です。申請用総合ソフト上で修正作業を行い、必要に応じて追加書類を送信します。ただし、補正期限を過ぎたり、添付書類の郵送期限(申請受付日の翌日から起算して2日以内)を守らなかったりすると申請が却下されます。
また、申請情報とあわせて送信(または郵送)した登記原因証明情報(相続関係説明図)に誤りや記載漏れがあると、補正は認められず、申請を一旦取り下げて、もう一度最初からやり直す必要があります。
却下された場合は最初からやり直しになりますが、納付した登録免許税は還付されます。
司法書士に依頼した方がいいケースは何ですか?
相続人が多い場合や遺産分割で揉めそうな場合は、最初から司法書士に依頼することをおすすめします。相続登記の司法書士報酬は10〜30万円程度が相場ですが、手続きの正確性と時間の節約を考えると決して高くありません。
特に、相続する不動産が複数ある場合や、相続関係が複雑な場合は、必要書類の収集だけでも膨大な作業になります。また、平日に時間が取れない方や、パソコン操作に不安がある方も、無理せず法律の専門家に相談することをおすすめします。多くの司法書士事務所では初回相談を無料で行っているため、まずは見積もりを取ってから判断することも可能です。
登記識別情報通知を失くしたらどうすればいいですか?
登記識別情報通知は再発行できないため、紛失した場合は別の手続きが必要になります。将来その不動産を売却する際は、司法書士による本人確認情報の作成(3〜5万円程度)や、法務局の事前通知制度を利用することになります。
登記識別情報は12桁の英数字のパスワードで、不動産の権利を証明する重要な情報です。紙で受け取った場合は金庫などに保管し、電子データで受け取った場合はUSBメモリなどオフラインの媒体に保存することが推奨されます。また、念のため「失効の申出」をすることで、第三者による不正使用を防ぐこともできます。
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