情報開示請求のやり方は目的で変わる!発信者特定から信用情報まで完全ガイド

情報開示請求とは、ネットの誹謗中傷の犯人特定、行政機関が持つ個人情報の確認、信用情報の開示など、目的に応じて異なる手続きの総称です。発信者情報開示請求は弁護士依頼で50〜80万円かかりますが、2022年の法改正で期間は3ヶ月〜1年程度に短縮されました。一方、行政機関や信用情報の開示は数百円〜千円程度で自分で簡単にできます。

情報開示請求とは?3つの種類と目的別の選び方

情報開示請求には主に3つの種類があります

情報開示請求という言葉を聞いて、何を思い浮かべますか?実は、この手続きは目的によって全く異なる3つの種類に分けられます。

まず最も注目を集めているのが発信者情報開示請求です。これはSNSや掲示板での誹謗中傷被害に対して、投稿者を特定するための手続きです。次に行政機関への情報開示請求は、国や自治体が保有するあなたの個人情報を確認する手続きです。そして信用情報開示請求は、クレジットカードやローンの履歴を確認し、自分の信用状態を把握するための手続きです。

それぞれ根拠となる法律も、請求先も、かかる費用も全く異なります。まずはあなたが何を知りたいのかを明確にすることが、正しい手続きを選ぶ第一歩となります。

目的に応じた請求方法の選び方

あなたの目的に応じて、どの請求方法を選ぶべきか整理してみましょう。

ネットで悪口を書かれた、デマを流されたという被害を受けた場合は、発信者情報開示請求を検討します。この手続きでは、サイト運営者からIPアドレスを取得し、さらにプロバイダから投稿者の氏名や住所を特定することを目指します。ただし、ログの保存期間が3〜6ヶ月と短いため、発見したらすぐに行動することが重要です。

市役所や警察が持つ自分の記録を確認したい場合は、行政機関への情報開示請求を行います。福祉・介護関係の記録や捜査・事故に関する記録など様々な情報を取得できます。過去の記録確認などで必要になることが多いです。

住宅ローンの審査前に自分の信用状態を確認したい場合は、CIC、JICC、KSCという3つの信用情報機関に開示請求します。オンラインなら500〜1,000円で、過去の延滞記録などを確認できます。

2022年の法改正で何が変わったのか

特に発信者情報開示請求については、2022年10月の法改正で大きく変わりました。

改正前は、サイト運営者への仮処分とプロバイダへの訴訟を別々に行う必要があり、1年以上かかることも珍しくありませんでした。しかし、新たに創設された「発信者情報開示命令」により、1回の手続きで両方への請求が可能になりました。

これにより特定までの期間が3ヶ月〜1年程度に短縮され、被害者の負担も軽減されています。また、従来必要だった10〜30万円の担保金も原則不要となり、経済的なハードルも下がりました。ただし、手続きの専門性は依然として高く、成功させるには弁護士の協力が事実上不可欠というのが実情です。

ネットの誹謗中傷で発信者を特定する方法は?

発信者情報開示請求で特定できる情報とは

SNSや掲示板で誹謗中傷を受けた場合、投稿者を特定するにはどうすればよいのでしょうか。

発信者情報開示請求では、段階的に情報を取得していきます。まず、サイト運営者からIPアドレスとタイムスタンプ(投稿日時)を開示してもらいます。これらの情報だけでは個人を特定できませんが、次のステップへの重要な手がかりとなります。

次に、IPアドレスを基にプロバイダ(インターネット接続業者)を特定し、そのプロバイダに対して契約者の氏名、住所、電話番号、メールアドレスの開示を求めます。これらの情報が揃って初めて、匿名の投稿者が誰だったのかが判明します。特定後は損害賠償請求や刑事告訴など、法的な責任追及が可能になります。

具体的な手続きの流れと必要な証拠

発信者を特定するための具体的な手続きを説明します。

最初にすべきことは証拠の保全です。問題となる投稿のスクリーンショットを撮影し、URLを記録します。投稿内容だけでなく、投稿者のアカウント名、投稿日時も必ず含めて撮影してください。投稿はいつ削除されるか分からないため、発見次第すぐに行動することが重要です。

証拠を保全したら、裁判所に「発信者情報開示命令」等を申し立てます。この際、権利侵害が明白であること等を証明する必要があります。単に「不快だ」というレベルではなく、名誉毀損やプライバシー侵害など、法的に権利侵害と認められる内容である必要があります。

裁判所が申立てを認めれば、開示命令が発令されます。新制度では「提供命令」と「消去禁止命令」も同時に申し立てることができ、ログが消去される前に情報を保全しやすくなりました。

SNS別の開示請求の特徴と注意点

主要なSNSごとに、開示請求の特徴があります。

X(旧Twitter)やInstagramは米国企業が運営しているため、国内サービスより時間がかかる傾向があります。

LINEの場合、個人間のトークは原則として開示請求の対象外です。対象となるのはLINEオープンチャットなど不特定多数が閲覧できる場所での投稿に限られます。1対1のトークで脅迫などを受けた場合は、開示請求ではなく警察への相談が適切です。

5ちゃんねるなどの匿名掲示板は、古くから開示請求の事例が蓄積されており、手続きは比較的確立されています。ただし、掲示板運営者はIPアドレスとタイムスタンプのみを保有していることが多く、プロバイダへの二段階の請求が必要になります。

情報開示請求の費用と期間はどのくらいかかりますか?

一方、自分で手続きを行えば実費のみで済みますが、手続きの難易度が非常に高いため、自力で成功まで持っていくことは容易ではありません。法律知識がない状態で裁判所への申立書を作成し、相手方の反論に対応するのは非常に困難です。また、手続きに時間がかかりすぎてログ保存期間を過ぎてしまうリスクも高くなります。

費用面で注意すべきは「費用倒れ」のリスクです。誹謗中傷の慰謝料相場は10〜50万円程度であり、弁護士費用を下回ることもあります。ただし、特定にかかった弁護士費用の一部を損害賠償に含めることは可能です。

特定までにかかる期間の目安

発信者の特定にはどのくらいの時間がかかるのでしょうか。

2022年の法改正前は、仮処分と訴訟を別々に行う必要があり、半年から1年以上かかることが一般的でした。しかし、新制度の「発信者情報開示命令」により、手続きが一本化され、3〜6ヶ月程度で特定できるケースが増えています。

ただし、これはあくまで順調に進んだ場合の目安です。相手方が争ってきた場合や、海外企業が相手の場合は、さらに時間がかかることがあります。また、プロバイダのログ保存期間は約3〜6ヶ月と短いため、誹謗中傷を発見したら可能な限り早く手続きを開始することが成功の鍵となります。

時間との勝負という側面が強いため、迷っている時間はありません。まずは弁護士の無料相談を利用して、見通しを確認することをお勧めします。

行政機関や信用情報の開示費用は格安

発信者情報開示とは対照的に、行政機関や信用情報の開示は非常に安価です。

行政機関への情報開示請求は、1件につき300円が標準的な手数料です。オンラインのe-Govや窓口、郵送など、どの方法でも手数料は変わりません。

信用情報の開示も、オンラインなら500〜1,000円程度で可能です。CICは500円、JICCとKSCは各1,000円で、3機関すべてに請求しても2,500円で済みます。郵送の場合は若干高くなりますが、それでも1,300〜1,700円程度です。

これらの手続きは定型化されており、専門知識がなくても簡単に自分で行えるのが特徴です。発信者情報開示請求とは異なり、弁護士に依頼する必要はありません。

情報開示請求は自分でできる?弁護士に依頼すべき?

自分でできる開示請求とできない開示請求

情報開示請求を自分で行うべきか、法律の専門家に依頼すべきか迷う方も多いでしょう。

結論から言えば、行政機関や信用情報の開示請求は自分で簡単にできます。これらは申請書に必要事項を記入して提出するだけの定型的な手続きです。各機関のウェブサイトに詳しい手順が掲載されており、分からないことがあれば窓口で相談することもできます。費用も数百円から千円程度と安価です。

一方、発信者情報開示請求は弁護士への依頼が事実上必須です。これは裁判手続きであり、申立書の作成から証拠の提出、相手方への対応まで、高度な法律知識が求められます。また、プロバイダのログ保存期間という時間的制約の中で、迅速かつ正確に手続きを進める必要があります。

自分で行って失敗すれば、二度と相手を特定できない可能性があります。費用はかかりますが、成功の可能性を重視するなら弁護士への依頼一択と言っても間違いではないでしょう。

弁護士に依頼するメリットとタイミング

発信者情報開示請求を弁護士に依頼する最大のメリットは何でしょうか。

まず成功の期待値を上げられることです。弁護士は過去の判例を熟知しており、どのような主張をすれば裁判所に認められやすいかを理解しています。また、相手方が反論してきた場合も、適切に対応できます。

次に時間と精神的負担の軽減です。裁判所への出頭や書類作成など、対外的なことはすべて弁護士に任せることができます。誹謗中傷で傷ついている中、複雑な手続きに追われる必要がなくなります。

依頼のタイミングは被害を発見したら早ければ早いほどよいです。ログの保存期間を考えると、1日でも早い方が良いでしょう。多くの法律事務所では初回相談を無料で実施しています。まず相談して見通しを聞き、その上で正式に依頼するかを決めることができます。

費用対効果を考えた最適な選択方法

情報開示請求における費用対効果をどう考えるべきでしょうか。

発信者情報開示請求の場合、弁護士費用50〜80万円に対して、慰謝料は10〜50万円程度が相場です。純粋な金銭面だけ見れば赤字になる可能性があります。しかし、誹謗中傷の被害は金銭だけでは測れません。

相手を特定することで精神的な区切りをつけられる今後の抑止力になる社会的な責任を問えるといった価値があります。また、特定後に示談で解決すれば、裁判よりも早く慰謝料を回収できる可能性もあります。

一方、行政機関や信用情報の開示は費用が安いため、必要に応じて気軽に利用すべきです。特に信用情報は、ローン審査の前に確認しておくことで、審査落ちのリスクを減らせます。目的と費用を天秤にかけ、あなたにとって最適な選択をしてください。

よくある質問

情報開示請求で絶対に特定できますか?

必ず特定できるとは限りません。発信者情報開示請求では、裁判所が「権利侵害が明白でない」と判断した場合や、プロバイダのログが既に削除されていた場合は特定できません。

特にログの保存期間は3〜6ヶ月と短いため、時間が経過するほど特定は困難になります。また、VPNや公衆Wi-Fiを使用していた場合等、技術的に特定が困難なケースもあります。しかし、2022年の法改正により手続きが迅速化され、以前より成功率は向上しています。早期に弁護士に相談することで、特定できる可能性を最大限に高められます。

相手に開示請求したことはバレますか?

発信者情報開示請求の場合、最終的には相手に通知されます。プロバイダは開示前に契約者(投稿者)に意見照会を行うことが法律で定められているためです。

ただし、この通知は手続きの最終段階で行われるため、証拠隠滅などを防ぐことはできます。また、通知を受けた段階で相手が謝罪や示談を申し出てくることもあります。一方、行政機関への個人情報開示請求や信用情報開示請求は、本人が自分の情報を確認するだけなので、第三者に知られることはありません。

開示請求にかかった費用は取り戻せますか?

発信者情報開示請求の費用は、一部を相手に請求できます。特定後の損害賠償請求において、調査費用として弁護士費用の一部を損害に含めることが認められています。

ただし、裁判所が認める金額は「相当な範囲」に限られ、全額が認められるとは限りません。一般的には、弁護士費用の3分の1から半額程度が認められることが多いようです。とはいえ、加害者に経済的負担を課すことで、一定の責任を取らせることは可能です。費用面だけでなく、精神的な区切りや今後の抑止効果も含めて、総合的に判断することが大切です。

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初めてのご相談に
不安がある方へ

弁護士、専門家へのご相談のご経験があるかはそこまで多くないと思います。ちょっとしたポイントを抑えていただくだけで、ご自身のお悩みの解決方法が見つかりやすいことがあります。ご不安を感じられる方はぜひ、このポイントを抑えたうえでご相談ください。

  • POINT 1

    相談をオンラインでしている様子

    早めのご相談

    「まだ大丈夫」と思っていても、早めに相談することで安心につながります。弁護士は身近な相談相手として、問題が大きくなる前の解決をサポートしてくれます。

  • POINT 2

    書類のイメージ

    書類や文書の整理

    相談には契約書や領収書、メモなど関係しそうな資料をできるだけ整理しましょう。自分では些細に思えても、弁護士にとっては大切な手がかりになることがあります。

  • POINT 3

    時系列を整理している様子

    時系列の確認

    問題の流れを日付順に整理してメモしておくと、弁護士が状況を理解しやすくなります。細かく書く必要はなく、大まかな出来事を箇条書きにするだけで十分です。

  • POINT 4

    考えている様子

    お考えの整理

    相談をスムーズに進めるために、「自分はどうしたいのか」を整理しておきましょう。望む結果が明確だと、弁護士もそれに合わせて具体的なアドバイスがしやすくなります。