情報開示請求とは?種類・手続き・費用を徹底解説

情報開示請求には、ネット上の誹謗中傷の投稿者を特定する「発信者情報開示請求」、企業が持つ自分の個人情報を確認する「個人情報開示請求」、行政文書を閲覧する「行政文書開示請求」の3種類があります。それぞれ根拠法や手続きが異なり、発信者情報開示請求は弁護士依頼が事実上必須、他の2つは自分でも可能です。

情報開示請求とは何ですか?3つの種類と違いを解説

情報開示請求という言葉を聞いたことがあっても、実際にどのような手続きなのか、何ができるのかを正確に理解している人は少ないのではないでしょうか。

実は「情報開示請求」という言葉は、目的によって全く異なる3つの手続きを指しています。ネット上の誹謗中傷対策なのか、自分の個人情報の確認なのか、行政の透明性確保なのか、目的によって使う法律も手続きも大きく変わってきます。

ネット誹謗中傷に対する発信者情報開示請求

発信者情報開示請求は、インターネット上で匿名の誹謗中傷や権利侵害を受けた際に、投稿者を特定するための法的手続きです。

SNSや掲示板での「死ね」「犯罪者」といった違法な書き込みや、許可なく個人情報や写真を公開された場合などに利用できます。2022年10月の法改正により、従来は半年から1年以上かかっていた手続きが3ヶ月~1年程度に短縮できるケースが増えてきました。

ただし、請求が認められるには「権利侵害の明白性」という厳しい条件があります。単なる批判や意見表明では認められず、名誉毀損やプライバシー侵害等の権利侵害が客観的に明らかでなければなりません。手続きは裁判所を通じて行うため、成功率を高めるには弁護士への依頼が事実上必須となります。

企業が持つ自分の情報を確認する個人情報開示請求

個人情報開示請求は、企業や行政機関が保有する自分の個人情報がどのように管理されているかを確認できる権利です。

例えば、ECサイトの購入履歴、病院のカルテ、会社の人事評価データなど、自分に関する情報の開示を求めることができます。個人情報保護法で保障された権利であり、情報に誤りがあれば訂正を、不適切な利用があれば停止を求めることも可能です。

請求方法は比較的シンプルで、各事業者のウェブサイトで「個人情報開示請求書」を入手し、本人確認書類と共に提出します。手数料は1,000円程度が一般的で、原則として30日以内に開示の可否が通知されます。

行政の透明性を確保する行政文書開示請求

行政文書開示請求(情報公開請求)は、国や地方自治体が保有する行政文書を誰でも閲覧できる制度です。

政策決定の議事録、調査報告書、許認可の審査記録など、行政がどのような情報に基づいて意思決定をしているかを知ることができます。情報公開法や各自治体の条例で保障された国民の権利であり、行政の透明性確保と国民による監視を可能にする重要な制度です。

手続きは各行政機関の「情報公開窓口」、郵送またはオンラインで、手数料は300円程度です。請求から30日以内に開示決定が通知され、不開示の場合は不服申立ても可能です。

ネットの誹謗中傷で発信者情報開示請求をする方法は?

ネット上で誹謗中傷を受けた場合、まずは投稿者の特定から始める必要があります。しかし、匿名性の高いインターネットでは、これが簡単ではありません。

発信者情報開示請求は、サイト運営者とプロバイダの両方に対して段階的に行う必要があり、法的知識と迅速な対応が求められます。

開示請求が認められる条件と具体例

発信者情報開示請求が認められるには、「権利侵害の明白性」という厳格な要件を満たす必要があります。

つまり、その投稿があなたの権利を侵害していることが、誰が見ても明らかでなければなりません。例えば「○○は前科持ち」「△△は不倫している」など、具体的な事実を挙げて社会的評価を下げる名誉毀損、「死ね」「消えろ」といった侮辱、住所や電話番号を勝手に公開するプライバシー侵害などが該当します。

一方で、「このレストランはまずい」といった個人の感想は開示対象になりません。また、政治家の汚職疑惑など公共の利害に関わる事実の指摘は、それが真実または真実相当性がある場合、開示が認められないことがあります。

新制度による手続きの流れと期間

2022年10月から始まった新制度「発信者情報開示命令事件」により、従来より大幅に手続き期間が短縮されるケースが増えました。

まず裁判所に申立てを行うと、裁判所はコンテンツプロバイダ(SNSや掲示板の運営者)に対して、投稿者のIPアドレスなどの開示と、アクセスプロバイダ(通信事業者)の情報提供を命じます。次に、特定されたアクセスプロバイダに対して、投稿者の氏名や住所の開示を求める手続きを行います。

この一連の手続きは裁判所でまとめて審理され、要件を満たせば3ヶ月~1年程度で投稿者の特定が可能になります。ただし、プロバイダのログ保存期間(通常3~6ヶ月)があるため、被害を受けたら速やかに行動することが重要です。

弁護士費用の目安と成功率を高めるポイント

発信者情報開示請求の弁護士費用は、着手金40~60万円、成功報酬20~30万円が目安です。

これは新制度の場合で、旧来の仮処分と訴訟を組み合わせる方法では、それぞれ20~30万円ずつ、合計で80~100万円程度かかることもあります。高額に感じるかもしれませんが、法的要件の判断、証拠の収集と整理、裁判所への申立書作成、相手方との交渉など、専門的な作業が多岐にわたることがその背景にあります。

成功率を高めるポイントは、証拠の保全と迅速な相談です。問題となる投稿のスクリーンショット、URLの記録、投稿日時の記録などを確実に残し、できるだけ早く弁護士に相談することが重要です。インターネット投稿問題に詳しい弁護士を選ぶことも、成功への近道となります。

個人情報開示請求の手続きと費用はどうなっていますか?

自分の個人情報がどのように扱われているか不安に感じたことはありませんか。個人情報開示請求は、そんな不安を解消し、自分の情報をコントロールするための重要な権利です。

手続きは比較的簡単で、多くの場合は自分で行うことができます。企業や行政機関に保有されている自分の情報を確認し、必要に応じて訂正や削除を求めることも可能です。

開示請求できる情報と対象事業者

個人情報開示請求の対象となるのは、事業者が保有する「保有個人データ」です。

具体的には、ECサイトの購入履歴、クレジットカードの利用明細、病院のカルテ、会社の人事評価、監視カメラの映像(個人が識別できるもの)などが含まれます。基本的に、あなたに関する情報であれば、ほぼすべてが開示請求の対象となります。

ただし、開示によって本人や第三者の生命・身体・財産を害するおそれがある場合や、事業者の業務に著しい支障を及ぼす場合(不正調査の内部資料など)は、開示が拒否されることがあります。事業者が開示を拒否する場合は、その理由を説明する義務があります。

請求方法の具体的な手順

個人情報開示請求の手続きは、各事業者が定める方法に従って行います

まず、請求先のウェブサイトで「プライバシーポリシー」や「個人情報保護方針」を確認し、開示請求の窓口を調べます。次に、事業者が用意している「個人情報開示請求書」をダウンロードし、必要事項を記入します。このとき、請求する情報を具体的に特定することが重要です(例:2024年1月から3月までの購買履歴)。

本人確認書類として運転免許証やマイナンバーカードのコピーを用意し、手数料がある場合は指定の方法で支払います。書類一式を指定の方法で提出すると、原則として30日以内に開示の可否が通知されます。

手数料と開示までの期間

個人情報開示請求の手数料は、民間企業で1,000円程度、行政機関で300円程度が一般的です。

ただし、企業によっては無料で対応しているところもあります。オンライン申請が可能な行政機関では、手数料が200円に減額される場合もあります。この他に、本人確認書類の取得費用(住民票など)や郵送費が別途かかることがあります。

開示までの期間は、法律で原則30日以内と定められています。ただし、請求内容が複雑な場合や大量の情報を請求した場合は、30日延長されることがあります。開示方法は書面の交付が基本ですが、最近ではCD-ROMやメールでの提供も増えています。

情報開示請求は自分でできますか?弁護士に依頼すべき?

情報開示請求を自分で行うか専門家に依頼するかは、多くの方が悩むポイントです。結論から言えば、請求の種類によって判断が大きく分かれます。

それぞれの請求について、自分で行う場合のメリット・デメリット、弁護士に依頼すべきケースを詳しく解説します。

発信者情報開示は弁護士依頼が事実上必須な理由

発信者情報開示請求は、3つの中で最も弁護士への依頼が必要な手続きです。

その理由は、裁判所での手続きがほとんどのケースで必須であり、法的な専門知識なしには対応が困難だからです。「権利侵害の明白性」という要件の判断には高度な法的知識が必要で、素人判断では請求が却下される可能性が高くなります。また、プロバイダのログ保存期間(3~6ヶ月)という時間的制約もあり、迅速かつ正確な対応が求められます。

さらに、相手方(投稿者)のプライバシー権との調整も必要で、裁判所は慎重に判断します。インターネット投稿問題に詳しい弁護士であれば、過去の判例や最新の法改正を踏まえた適切な主張によって、成功率の大幅な向上が期待できます。

個人情報・行政文書開示を自分で行う方法

個人情報開示請求と行政文書開示請求は、基本的に自分で行うことが可能です。

両者とも請求書の様式が公開されており、手続きも定型化されています。個人情報開示請求の場合、各事業者のウェブサイトで手順が詳しく説明されていることが多く、問い合わせ窓口も設置されています。行政文書開示請求も、各行政機関の情報公開窓口で職員が手続きをサポートしてくれます。

費用も1,000円以下と安価で、特別な法的知識がなくても対応可能です。ただし、請求する情報を具体的に特定することが重要で、あいまいな請求では希望する情報が得られない可能性があります。

弁護士に依頼すべきケースの判断基準

自分で対応可能な個人情報・行政文書開示請求でも、以下のケースでは弁護士への相談を検討すべきです。

まず、開示請求が拒否された場合です。不開示決定に納得できず、訴訟等を検討する際は法的な検討が必要になります。次に、開示された情報に基づいて損害賠償請求など法的措置を取る場合です。例えば、個人情報の不正利用が判明し、企業に責任を追及する場合などが該当します。

また、請求する文書や情報の特定が困難な場合も、専門家のアドバイスが有効です。特に行政文書の場合、どの部署がどのような文書を保有しているか分からないことが多く、弁護士の経験が役立ちます。相談だけなら30分5,000円程度で受けられる法律事務所も多いので、まずは相談してみることをおすすめします。

よくある質問

情報開示請求について、多くの方から寄せられる質問にお答えします。実際の手続きで迷いやすいポイントや、知っておくと役立つ情報をまとめました。

情報開示請求にはどのくらい時間がかかりますか?

請求の種類によって大きく異なり、発信者情報開示は3ヶ月~1年程度、個人情報・行政文書開示は約30日です。

発信者情報開示請求は裁判所での審理が必要なため、最も時間がかかります。2022年の法改正で短縮されましたが、それでも3ヶ月~1年程度は見込む必要があります。一方、個人情報開示請求と行政文書開示請求は、法律で原則30日以内の回答が義務付けられています。

ただし、請求内容が複雑な場合や大量の情報を請求した場合は、30日延長されることがあります。また、年末年始や大型連休を挟む場合は、さらに時間がかかることもあります。急ぎの場合は、事前に処理期間を確認することをおすすめします。

ネットの書き込みを削除してもらうことはできますか?

情報開示請求とは別に、削除請求という手続きで対応可能です。

情報開示請求は投稿者を特定するための手続きですが、削除請求は問題のある投稿そのものを削除してもらう手続きです。多くのSNSや掲示板には削除申請フォームが用意されており、権利侵害の内容を説明して削除を求めることができます。

削除請求は情報開示請求より簡単で、サイト運営者が認めれば数日で削除されることもあります。ただし、削除されると投稿者特定のための証拠が失われるため、損害賠償請求を検討している場合は、先に証拠保全をしてから削除請求を行う必要があります。弁護士に相談すれば、適切な順序をアドバイスしてもらえます。

情報開示請求を受けた場合はどう対応すればいいですか?

プロバイダから意見照会書が届いたら、絶対に無視せず、期限内に回答することが重要です。

意見照会書は、あなたの投稿について情報開示請求があったことを知らせる重要な書類です。通常2週間程度の回答期限が設定されており、無視すると開示に同意したとみなされ、あなたの個人情報が請求者に開示される可能性があります。

まず、問題となっている投稿内容を確認し、身に覚えがあるかどうか確認します。その上で、開示に同意するか不同意とするかを判断しますが、この判断は非常に重要なので早急に弁護士に相談することをおすすめします。投稿内容が正当な批判や意見表明である場合は、法的根拠を示して開示を拒否できる可能性があります。

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不安がある方へ

弁護士、専門家へのご相談のご経験があるかはそこまで多くないと思います。ちょっとしたポイントを抑えていただくだけで、ご自身のお悩みの解決方法が見つかりやすいことがあります。ご不安を感じられる方はぜひ、このポイントを抑えたうえでご相談ください。

  • POINT 1

    相談をオンラインでしている様子

    早めのご相談

    「まだ大丈夫」と思っていても、早めに相談することで安心につながります。弁護士は身近な相談相手として、問題が大きくなる前の解決をサポートしてくれます。

  • POINT 2

    書類のイメージ

    書類や文書の整理

    相談には契約書や領収書、メモなど関係しそうな資料をできるだけ整理しましょう。自分では些細に思えても、弁護士にとっては大切な手がかりになることがあります。

  • POINT 3

    時系列を整理している様子

    時系列の確認

    問題の流れを日付順に整理してメモしておくと、弁護士が状況を理解しやすくなります。細かく書く必要はなく、大まかな出来事を箇条書きにするだけで十分です。

  • POINT 4

    考えている様子

    お考えの整理

    相談をスムーズに進めるために、「自分はどうしたいのか」を整理しておきましょう。望む結果が明確だと、弁護士もそれに合わせて具体的なアドバイスがしやすくなります。