情報開示請求の期間はどのくらい?ログ保存期間のタイムリミットと最短で特定する方法

情報開示請求で投稿者を特定するには通常3ヶ月〜1年程度かかりますが、プロバイダのログ保存期間は3〜6ヶ月しかないため、被害発見から可能な限り早く弁護士に相談することが成功の鍵です。 2022年の法改正により手続き期間は短縮されましたが、ログが消去されてしまえば特定は不可能になるため、迅速な初動が何より重要になります。

情報開示請求の期間はどのくらいかかりますか?

情報開示請求は複数の手続きを段階的に進める必要があるため、投稿者の特定まで一定の期間を要します。従来の手続きでは半年から1年以上かかることが一般的でしたが、2022年の法改正により期間短縮の可能性が出てきました。

投稿者特定までの全体期間は3ヶ月〜1年が目安

発信者情報開示請求では、まずSNSや掲示板の運営会社からIPアドレスを取得し、次にプロバイダから契約者情報を取得するという2段階の手続きが必要です。

従来の手続きでは投稿者特定まで6ヶ月〜1年半程度かかっていましたが、2022年10月施行の新制度「発信者情報開示命令」を利用すれば3ヶ月〜8ヶ月程度まで短縮できる可能性があります。ただし、事案の複雑さや相手方の対応により期間は変動するため、あくまで目安として考える必要があります。

手続きごとの所要期間の内訳

情報開示請求は大きく4つのステップに分かれており、それぞれに必要な期間があります。

まず証拠保全と弁護士への相談は被害発見から可能な限り早くに行うことが理想的です。投稿は削除される可能性があるため、発見次第すぐにスクリーンショットやURLを記録し、専門家に相談することが重要です。

次にサイト運営者へのIPアドレス開示請求には1〜2ヶ月程度、場合によってはそれ以上かかります。任意開示は期待できないため、裁判所への仮処分申立てや発信者情報開示命令の申立てが必要になります。特に海外法人が運営するSNSの場合は、期間が延びる傾向にあります。

IPアドレスを取得したら、プロバイダの特定とログ保存請求をできるだけ早く、特にログの保存期間が迫っているものについてはその前に完了させる必要があります。この段階でログの消去を防ぐため、裁判所に発信者情報消去禁止命令を申し立てます。

最後にプロバイダへの氏名・住所開示請求には2〜6ヶ月程度かかります。これが最も時間を要する段階で、相手が開示を拒否して争う場合はさらに長期化する可能性があります。

なぜ情報開示請求には時間がかかるのか

情報開示請求に時間がかかる最大の理由は、複数の相手方に対して順番に法的手続きを行う必要があるからです。

まずサイト運営者は投稿者のIPアドレスしか把握しておらず、個人情報は持っていません。一方、プロバイダは契約者の個人情報を持っていますが、どの投稿をしたかまでは把握していません。そのため、両者から段階的に情報を取得する必要があります。

また、プライバシー保護の観点から、裁判所は権利侵害が明白である場合にのみ開示を認めるという慎重な姿勢を取っています。申立人は権利侵害の明白性を立証する必要があり、この審理にも相応の時間がかかります。

さらに、プロバイダは契約者に対して意見照会を行う義務があり、契約者が開示に反対する場合は法的な争いに発展することもあります。このような複数の要因が重なることで、全体として長い期間を要することになります。

ログ保存期間のタイムリミットは何ヶ月?

情報開示請求において最も重要な制約が「ログ保存期間」です。このタイムリミットを過ぎてしまうと、どんなに悪質な投稿であっても投稿者の特定は不可能になってしまいます。

プロバイダのログ保存期間は一般的に3〜6ヶ月

プロバイダが保存するアクセスログは、投稿者を特定する唯一の証拠である場合がほとんどですが、永久保存されるわけではありません

携帯キャリア(ドコモ、au、ソフトバンクなど)のログ保存期間は約3ヶ月、固定回線事業者(NTT、KDDI系列など)は3〜6ヶ月程度が一般的です。格安SIMなど一部のMVNOでは、わずか1ヶ月程度しか保存しない場合もあります。

この保存期間は、膨大なログデータの管理コストとサーバー容量の制約から決められており、期間を過ぎると自動的に削除される仕組みになっています。つまり、誹謗中傷の投稿から3ヶ月が経過した時点で、携帯キャリアからの投稿であれば特定が極めて困難になります。

ログ保存期間を過ぎると特定は物理的に不可能

ログ保存期間を1日でも過ぎてしまうと、IPアドレスと契約者情報を結びつける証拠が物理的に消滅してしまいます。

たとえ裁判所が「開示すべきである」と判断しても、プロバイダは「データが存在しないため開示できません」と回答するしかありません。この時点で手続きは完全に行き詰まり、投稿者の特定は不可能になります。

重要なのは、ログの保存期間は投稿日から起算されるという点です。被害に気づいた日からではありません。そのため、投稿から時間が経って被害に気づいた場合、すでにタイムリミットが迫っている可能性があります。

「5年保存」という誤解に要注意

インターネット上では「プロバイダのログ保存期間は5年」という情報を見かけることがありますが、これは一般的な誹謗中傷案件には当てはまりません

この5年という期間は、主に不正アクセス禁止法などの特定の刑事事件における捜査協力に関連するもので、民事の発信者情報開示請求とは全く別の話です。この誤った情報を信じて「まだ時間がある」と対応を先延ばしにすると、気づいた時にはログが消去されて手遅れになってしまいます。

誹謗中傷の被害に遭ったら、早ければ3ヶ月以内という短いタイムリミットを前提に、可能な限り早く行動を開始することが絶対条件です。時間の経過とともに特定の可能性は低下していくことを肝に銘じておく必要があります。

2022年の法改正で期間は短縮されましたか?

2022年10月に施行された改正プロバイダ責任制限法により、新しい裁判手続きが導入されました。この改正により、情報開示請求にかかる期間はどう変わったのでしょうか。

新制度「発信者情報開示命令」で期間短縮が可能に

改正法で導入された「発信者情報開示命令」は、従来2回必要だった裁判手続きを1つの手続きに統合できる画期的な制度です。

従来は、サイト運営者への仮処分とプロバイダへの訴訟という別々の裁判手続きが必要でした。しかし新制度では、これらを一連の手続きとして扱うことができるため、重複する審理期間が削減されます。

また、サイト運営者への申立てと同時にプロバイダへのログ保存命令も申し立てることができるため、ログ消去のリスクも大幅に軽減されました。これにより、従来6ヶ月〜1年以上かかっていた手続きが、早ければ3〜8ヶ月程度で完了する可能性が出てきました。

新制度でも弁護士への依頼は事実上必須

手続きが一本化されたとはいえ、発信者情報開示請求が簡単になったわけではありません

裁判所への申立書には、権利侵害の明白性を法的に説得力をもって記載する必要があります。判例の引用、法的構成の組み立て、証拠の収集など、高度な専門知識と実務経験が求められます。

また、新制度と従来の手続きのどちらを選択すべきかは、事案によって異なります。海外法人が相手の場合や、複雑な権利侵害の場合等は、従来の手続きの方が適している場合もあります。このような判断は、インターネット投稿問題に精通した弁護士でなければ困難です。

期間短縮というメリットを最大限に活かすためにも、専門家である弁護士への依頼は事実上必須といえます。

海外SNSへの開示請求は依然として時間がかかる

Twitter(X)やMeta(Facebook、Instagram)など海外法人が運営するSNSへの開示請求は、国内サービスより1〜2ヶ月以上長くかかる傾向があります。

情報開示請求を最短で進める方法は?

ログ保存期間という厳しいタイムリミットがある中で、どうすれば最短で投稿者を特定できるのでしょうか。成功のカギは初動の早さと専門家の活用にあります。

被害発見から1日も早い弁護士相談が成功のカギ

情報開示請求を最短で成功させる唯一の方法は、被害を発見したらすぐに行動を開始することです。

まず誹謗中傷の投稿を発見したら、すぐに証拠保全を行います。スクリーンショット、URL、投稿日時、アカウント情報などを正確に記録してください。投稿はいつ削除されるかわからないため、発見次第すぐに行動することが重要です。

そして理想的には被害発見後1日でも早く、インターネット問題に強い弁護士に相談することをおすすめします。初動が早ければ早いほど、ログが保存されている可能性が高く、新制度を活用して迅速に手続きを進めることができます。迷っている時間が、特定できる可能性を低くしていることを認識する必要があります。

弁護士費用の目安と費用対効果

発信者情報開示請求の弁護士費用は、トータルで50万円〜100万円程度が一般的な目安です。

内訳としては、サイト運営者への開示請求で着手金20〜30万円と成功報酬15〜25万円、プロバイダへの開示請求訴訟で着手金20〜30万円と成功報酬15〜25万円というのが目安になります。多くの事務所では初回相談を無料で実施しています。

費用は決して安くありませんが、弁護士に依頼することで期間の大幅短縮と成功率の向上が期待できます。専門家が手続きを行うことで、書類の不備や法的主張の誤りをなくし、ログ保存期間内に特定できる可能性が格段に高まるといってもいいでしょう。

また、悪質なケースでは開示請求にかかった弁護士費用の一部を、損害として相手に請求することも可能です。金銭面だけでなく、精神的な苦痛からの解放や再発防止という観点からも、弁護士への依頼は有効な投資といえるでしょう。

特定後の損害賠償請求や刑事告訴にも時効がある

無事に投稿者を特定できても、その後の法的措置には時効という期限があります。

民事の損害賠償請求権は「損害及び加害者を知った時から3年」で時効になります。つまり、開示請求で相手の氏名・住所が判明してから3年以内に請求する必要があります。

一方、名誉毀損罪や侮辱罪での刑事告訴は「犯人を知ってから6ヶ月」という非常に短い期限があります。この期間を過ぎると、警察に告訴状を提出しても受理されません。

特定後はどのような解決を望むのか、弁護士と相談するなどして迅速に方針を決めることが重要です。時効を意識せずに対応を先延ばしにすると、せっかく特定できても法的責任を追及できなくなってしまいます。

よくある質問

投稿から1年以上経っていても開示請求はできますか?

理論上は可能ですが、現実的には極めて困難なケースが多いです。 ほとんどのプロバイダでは1年も経てばアクセスログは完全に削除されています。ログが存在しない限り、投稿者を特定することはできないケースが多いからです。例外的に、被害者が早期にログ保存命令を申し立てていた場合は1年以上経過していても特定できる可能性がありますが、これは非常に稀なケースです。基本的には投稿から3〜6ヶ月以内に手続きを開始しなければ、特定は不可能と考えるべきでしょう。

自分で開示請求すれば期間は短縮できますか?

費用は抑えられますが、期間短縮は期待できず、むしろ失敗のリスクが高くなると考えておかなければなりません。 発信者情報開示請求は専門的な法律知識と実務経験が必要な手続きです。書類の不備や法的主張の誤りにより裁判所に申立てを却下されたり、手続きに手間取っている間にログ保存期間が過ぎてしまう危険性があります。結果的に、インターネット投稿問題に精通した弁護士に依頼する方が、失敗のリスクが低く最短のルートで手続きを進められる可能性も高いと言ってよいでしょう。初回無料相談を実施している事務所も多いため、まずは専門家の意見を聞くことをおすすめします。

加害者側ですが意見照会書はいつ頃届きますか?

一般的には投稿から数ヶ月〜1年程度で届くケースが多いです。 被害者がいつ法的措置を開始するかによるため、正確な時期は予測できません。プロバイダのログ保存期間や手続きにかかる期間を考慮すると、投稿から1年〜1年半が経過すれば、もう意見照会書が来ることはないという目安にはなりますが、確実ではありません。意見照会書が届いた場合は、開示に同意するか拒否するかの重要な判断を迫られるため、速やかに弁護士に相談することが賢明です。対応を誤ると、民事訴訟や刑事告訴に発展する可能性が高まります。

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不安がある方へ

弁護士、専門家へのご相談のご経験があるかはそこまで多くないと思います。ちょっとしたポイントを抑えていただくだけで、ご自身のお悩みの解決方法が見つかりやすいことがあります。ご不安を感じられる方はぜひ、このポイントを抑えたうえでご相談ください。

  • POINT 1

    相談をオンラインでしている様子

    早めのご相談

    「まだ大丈夫」と思っていても、早めに相談することで安心につながります。弁護士は身近な相談相手として、問題が大きくなる前の解決をサポートしてくれます。

  • POINT 2

    書類のイメージ

    書類や文書の整理

    相談には契約書や領収書、メモなど関係しそうな資料をできるだけ整理しましょう。自分では些細に思えても、弁護士にとっては大切な手がかりになることがあります。

  • POINT 3

    時系列を整理している様子

    時系列の確認

    問題の流れを日付順に整理してメモしておくと、弁護士が状況を理解しやすくなります。細かく書く必要はなく、大まかな出来事を箇条書きにするだけで十分です。

  • POINT 4

    考えている様子

    お考えの整理

    相談をスムーズに進めるために、「自分はどうしたいのか」を整理しておきましょう。望む結果が明確だと、弁護士もそれに合わせて具体的なアドバイスがしやすくなります。